有糸分裂期に小胞輸送は停止し、ゴルジ体や核のようなオルガネラは分解して小胞となる。そして、分裂終期に小胞が融合してオルガネラが再形成される。最近、NSFとVCPという2つのATPaseがゴルジ体小胞の融合に関与していることが明らかにされたが、オルガネラの集合と解離の機構はまだ十分に解明されていない。本研究で核膜、ゴルジ体、小胞体などのオルガネラの形成機構を解析し、以下の結果を得た。 1.NSFはSNAPおよびSNAREと複合体を形成して膜に結合する。NSFはゴルジ膜に存在することが既に知られていたが、核膜にも存在することが判明した。SNAREのサブユニットの一つであるSNAP-25のC末端領域に対する抗体は、アフリカツメガエルの抽出液を用いた核膜融合反応を阻害した。この結果はNSF-SNAP-SNARE複合体が核膜小胞の融合にも関与していることを示唆している。 2.ノルジヒドログアイアレチン酸はゴルジ体の分解を引き起こすが、この分解には三量体GTP結合タンパク質が関係している。三量体GTP結合タンパク質は19種もの分子種が知られているが、ゴルジ体の分解にはα_<i2>またはα_z関与していることが明らかとなった。 3.syntaxinはSNAREのサブユニットの一つであり、細胞内局在の異なる多くの分子種が知られている。酵母two-hybrid法を用いて新規のsyntaxin分子種を同定した。このsyntaxin(syntaxin 18)は酵母において核膜や小胞体膜の融合に関与するUfe1pのホモログであると考えられた。現在、小胞体の形態維持におけるsyntaxin 18の役割を研究している。
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