研究課題/領域番号 |
09480173
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
阿久津 秀雄 横浜国立大学, 工学部, 教授 (60029965)
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研究分担者 |
小澤 潔 横浜国立大学, 工学部, 助手 (20251770)
藤原 敏道 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (20242381)
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キーワード | H^+-ATP合成酵素 / F_1-ATPase / NMR / 固体NMR / H^+-ATP合成酵素βサブユニット / H^+-STPA式酵素Cサブユニット / 化学合成 |
研究概要 |
好熱性細菌由来のH^+-ATP合成酵素のTF_1ドメインはATPase活性があり、そのβサブユニットに触媒部位があることが明らかになっている。このβサブナユニット中に12個存在し、一次配列上比較的均等に分布しているHis残基に注目し、ATP再生系によるATPase活性測定の結果と、^1H-NMR測定の結果を合わせることによって、βサブユニットの構造や機能の解析を試みた。この試料調整に本研究で購入したフラクションコレクターおよび小型高速冷却遠心機を用いた。ATPase活性測定の結果からは、His119とHis324が重要な残基であることが分かった。^1H-NMR測定においては12個あるHis由来のシグナルの帰属を完了した。また、基質滴定実験の結果、ヌクレオチド結合による構造変化が、βサブユニットというモノマーのみでも起きていることが明らかになった。この構造変化こそ、F_1の回転の駆動力になっていることが示唆された。 また、固体二次元相関NMRでβサブユニット中のATPの構造解析を行うために、試料調製法を検討した。急速凍結法・再水和法を用いることにより、ATP-TF_1βサブユニット複合体の^<31>P-NMRシグナルはシャープになり、3本に分解することが出来た。同時に、ATP結晶を用いて固体NMR法の開発を行った。^<31>C,^<15>N同位体均一標識試料について全シグナルの帰属を行うことができた。また、安定同位体で多重標識した試料でも距離や二面画を決めることができることが示された。 一方、Foの構成成分であるサブユニットcに安定同位体ラベルされたアミノ酸を任意に組み込むことができるような化学的合成方法の検討も進めた。好熱菌のサブユニットcについては二つのセグメントに分けて合成し、これをつなげることを検討したが、効率よくはいかなかった。
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