Na^+駆動型モーターのエネルギー変換ユニットあるいはイオンチャネルに対応すると考えられる遺伝子(motX、motY、pomA、pomB)を我々は同定している。H^+駆動型モータータンパク質MotAとMotBとの相同性から、PomAとPomBは複合体を形成してNa^+チャネルとして機能していると考えられている。PomA、PomBのペプチド断片を、そのDNA配列から予想されたアミノ酸配列から合成し、それらをキャリアタンパク質につけたものをウサギで免疫して抗ペプチド抗体をそれぞれ作成した。これを用いて、免疫ブロット法によりタンパク質の検出を行った。その結果、抗PomAペプチド抗体では、PomAを発現している菌体で25kDaに、抗PomBペプチド抗体では、PomBを発現している菌体で37kDaの付近にそれぞれ特異的なバンドが検出できた。これらのバンドはそれぞれ、PomA、PomBの推定分子量とほぼ一致することから、PomAまたはPomBであると考えられる。 PomAとPomBの菌体内での安定性を調べるために、PomA、PomBを単独もしくは共発現させた菌体を培養し時間を追って菌体を回収し、それぞれのタンパク質を免疫ブロットで検出した。PomAは単独またはPomBとの共発現でも、培養時間に依存せず一定レベルのバンドが確認できた。PomBはPomAとの共発現では、培養時間に依存せず一定レベルのバンドが確認できたが、PomB単独の発現ではサンプリング時間に依存して、バンドのレベルが弱くなっていった。このことによりPomBの安定性には、PomAが必要であることがわかった。また、多くのこれまでの実験結果から相互作用をしていると考えられているMotA、MotBにおいても、今回の実験結果と同じような結果が得られている。以上のことよりPomAとPomBも複合体を形成していると言う仮説を支持する証拠がNa^+駆動型モーターでも示された。
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