研究課題/領域番号 |
09480178
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太和田 勝久 九州大学, 理学部, 教授 (20029507)
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研究分担者 |
山田 章 郵政省, 通信総合研究所・関西支所, 主任研究官
関本 謙 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00179342)
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キーワード | 分子モータ / ムラサキイガイ / ミオシン繊維 / 滑り運動 / 揺らぎ解析 / ハックスレ-・モデル / 中心極限定理 / アクチン |
研究概要 |
1.ムラサキイガイの平滑筋から巨大ミオシン繊維を調製して、その繊維に沿って生じるアクチン繊維のinvitro滑り運動を録画した。 2.上記録画の画像処理および解析を行い、アクチン繊維の滑り運動の揺らぎを、一定時間の間に生じるアクチン繊維の滑り距離の分散から求まる動的拡散係数(Dm)として定量化した。そして、Dmのアクチン繊維長依存性を解析した。その結果、この場合、つまり、ミオシン頭部の向きが揃っている場合でも、以前に分子モータ頭部の配向がランダムである(キネシン、ダイニンを用いた微小管のin vitro滑り運動の)場合に得た結論と同じく『Dmは、アクチン繊維長に依存せず、一定である』という結論を得た。 3.上記の結論は、「一本の繊維の滑り運動を起こしている複数個の分子モータの作用が互いに独立でランダムである」という中心極限定理の前提が、分子モータによる滑り運動機構で破れていることを示唆している。 4.上記の推論を計算機実験で確かめた。具体的には、Huxley1957モデルのバネミオシンを多数個一次元線上に並べておき、その上でアクチン繊維に滑り運動をさせた。この計算機実験で得た、アクチン繊維のDmは、アクチン繊維長に逆比例する。この逆比例依存性は、繊維状物体のブラウン運動において、その長軸方向の拡散係数が繊維長に逆比例するのと同じで、複数個の素子が互いに独立にランダムに作用しているからである。 5.滑り運動機構では分子モータの作用に関して中心極限定理の前提が破れているということから、滑り運動発生機構では複数個の分子モータ間にはある種の協同作用が働いていることが示唆される。その実体を解明することが重要である。
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