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1998 年度 実績報告書

ミオシン巨大繊維に沿って生じるアクチン滑り運動の揺らぎ解析

研究課題

研究課題/領域番号 09480178
研究機関九州大学

研究代表者

太和田 勝久  九州大学, 理学部, 教授 (20029507)

研究分担者 山田 章  郵政省, 通信総合研究所関西支所, 主任研究官
関本 謙  京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00179342)
キーワード分子モーター / ミリオン / アクチン / 滑り運動 / 滑り距離 / 揺らぎ解析 / 中心極限定理
研究概要

1. ムラサキイガイの平滑筋から(数+μmの長さの)ミオシン繊維を調製して、その繊維に沿って生じるアクチン繊維のin vitro滑り運動を録画した。各ミオシン繊維について、長時間観察録画し、それに添って滑るいろいろな長さのアクチンの運動を多数録画した。合計5本のミオシン繊維について良い録画を得た。
2. 上記録画の画像処理および解析を行い、アクチン繊維の滑り距離の揺らぎを、一定時間の間に生じるアクチン繊維の滑り距離の分散から求まる動的拡散係数(Dm)として定量化した。そして、Dmのアクチン繊維長依存性を解析した。その結果、この場合、つまり、ミオシン頭部の向きが揃っている場合でも、以前に分子モータ頭部の配向がランダムである(キネシン、ダイニンを用いた微小管のin vitro滑り運動の)場合に得た結論と同じく『Dmは、アクチン繊維長に依存せず、一定である』という結論を得た。
3. 上記の結論は、「一本のアクチン繊維の滑り運動を起こしている複数個の分子モータの作用が互いに独立でランダムである」という中心極限定理の前提が、分子モータによる滑り運動機構で破れていることを示唆している。
4. 上記の推論を計算機実験で確かめた。具体的には、Huxley1957モデルのバネミオシンを多数個一次元線上に並べておき、その上でアクチン繊維に滑り運動をさせた。この計算機実験で得た、アクチン繊維のDmは、アクチン繊維長に逆比例する。この逆比例依存性は、繊維状物体のブラウン運動において、その長軸方向の拡散係数が繊維長に逆比例するのと同じで、複数個の素子が互いに独立にランダムに作用しているからである。
5. 滑り運動機構では分子モータの作用に関して中心極限定理の前提が破れているということから,滑り運動発生機構では複数個の分子モータ間にはある種の協同作用が働いていることが示唆される。現在、この協同作用の実体を明らかにするために、いろいろな仮説をたて、計算機実験で検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Tawada,K.,Toyoda,S.,Imafuku,Y.,&Yamada,A.: "Fluctuation correlation in the sliding movement generated by protein motors in vitro." Advances in Exptl and Med.Biology. 453. 47-51 (1998)

  • [文献書誌] Sekimoto,K.: "Langevin Equation and Thermodynamics" Progr.in Theor.Phys.Suppl.130. 17-27 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2013-11-15  

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