平成9〜10年度の研究で、申請者らが本研究開始時点で発見していた「翻訳エンハンサー配列」の基礎的性質に関する解析をおこない、ある程度の研究成果を得た、しかし、平成10〜11年度の研究により、これらの「翻訳エンハンサー」は当初予想していたほど自律的に作用するものではなく、その効果の大きさはタンパク質コード領域やUTR内の塩基配列によって大きく左右されることが明らかになった。本研究の目標の一つは「植物mRNAの翻訳効率を規定している一般的なルールを明らかにすること」であるが、上記の知見は、それまで解析していた「翻訳エンハンサー配列」の解析だけではこの目標に到達するのは困難であることを示している。そこで、平成11年度には研究の発想を転換し、「基本的にどんな植物mRNAについてもその翻訳活性を促進するシス配列を明らかにする実験手法の開発」に取り組んだ。その結果、世界で初めて、そのような目的を満たす実験手法の開発に成功し、mRNAのキャップ非依存的翻訳の促進機構など関する新しい知見を得た。
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