TBPと結合する因子を検索し複数のTBP結合性蛋白質TIPを見い出したが、この内のTIP120について詳細に検討した。TIP120遺伝子の発現を各生物で検索したところ、複数の生物にこの遺伝子が見い出され、この蛋白質が高等真核生物において共通の機能を持つことが推定された。さらにTIP120に60%のホモロジーを持つファミリー遺伝子TIP120bの存在が確かめられた。通常のTIP120が不偏的に発現するのに対し、TIP120bは心筋と骨格筋にのみ発現するという組織特異性を示し、この因子が筋分化に深く関連することが示唆された。TIP蛋白質群は少なくとも10数個同定されたが、そのいずれもがTBPのC端に依存して得られた。ファーウエスタン解析の結果、その一部がTBPと直接結合することが示されたことから、TIPの多くは間接的にTBPと結合することが示唆された。再構成転写系によってTIP120の機能解析を行ったところ、TIP120がRNAポリメラーゼII系遺伝子の転写化因子であることが明らかになった。またゲルシフト解析により、活性化は転写開始複合体形成形成効率の向上であることが示唆された。
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