研究概要 |
アポトーシスは厳密な遺伝的調節下にあることが知られているが、死のシグナルはICEファミリープロテアーゼ(カスペース)カスケードを通して伝達される。しかし、特にカスペースの制御機構や「如何なる分子をターゲットとしてアポトーシスの情報を更に下流に伝達させていくか」などは全く不明である。この研究の目的は、これらの点を、ショウジョウバエを用いた遺伝学的手法を駆使し解析することである。具体的には、プロICEの過剰発現により誘導される致死性を回復するバイパスミュータント(サプレッサー変異)を単離することにより、目的の新規因子を同定単離し、解析を行う。 GAL4を種々の組織で特異的に発現する系統と掛け合わせることによりGAL4発現領域に過剰なアポトーシスが誘導され、種々の発生ステージで致死となる複数のトランスジェニックショウジョウバエをを用い、エチルメタンスルフオン酸(EMS)によるmutagenizeにより、特にGAL4-ICE発現による致死性を回避するサプレッサー変異を有する系統を多数樹立した。これらミュータントの遺伝的な解析により、染色体I,II,IIIにそれぞれサプレッサー変異を有する複数の系統が得られていることが判明した。またこれらの系統は。ICEの発現領域には無関係に(つまり細胞死を起こす細胞リニエジとは無関係に)致死性を回避させることができることから、細胞死に関連した因子が変異を起こしている可性が高い。またあるものは変異をホモに持つことで致死性を示し、変異遺伝子が胚発生に重要な機能を有することも示唆された。今後、より詳細なマッピングを行い、変異遺伝子の単離・解析を行う予定である。
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