サイクリン依存性キナーゼ群(CDKs)は細胞周期進行に関わる最も重要な因子である。ただし、CDK5のみは分裂を停止した神経細胞で活性が検出される特異なCDKsである。CDK5は微小管結合蛋白質タウやニューロフィラメントなどの細胞骨格蛋白のリン酸化を介して細胞の移動や位置の認識に関与すると考えられている。しかし、その詳しい役割や活性制御機構については殆ど判っていない。本研究ではCDK5の活性化機構について検討した。 1.ニューロフィラメントのリン酸化を指標にして、培養神経細胞内におけるCDK5の活性化の仕組みについて検討した。その結果、ラット胎児脳神経細胞の培養開始後、4から5日目にニューロフィラメントのリン酸化が現れるが、それに平行してCDK5活性も現れた。この時期はシナプスが形成期と一致し、脳由来神経栄養因子(BDNF)が活性化因子であることが示された。 2.CDK5は脳神経細胞特異的に発現する活性化サブユニットp35との結合により活性化される。P35は寿命の短い蛋白質であり、その分解とともにCDK5活性も低下することが示された。P35もサイクリンBなどと同様にプロテアソームによって分解されており、分解のシグナルにはp35のリン酸化が関与していることが判明した。 3.P35のp25への限定分解に関わるプロテアーゼについて検討した。ブタ脳抽出液にCa^<2+>を加えると、p35がp25に限定分解された。これらの分解はcalpain阻害剤によって抑制されたことから、calpainによることが示された。P25への分解はCDK5の可溶性を変化させることが示された。また、p25への分解は神経細胞死に際して見られ、細胞死との関連が示唆された。
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