本年度は2年計画の最終年度に当る。初年度はXlim-1の標的遺伝子候補であるgoosecoidのプロモーター解析を重点的に行ったが、今年度は以下の2点について解析を進めた。 1 Xlim-1の標的遺伝子と予想しているchordinとcerberusのプロモーター解析を行うため、ゲノム遺伝子のクローニングを行った。ゲノム・ライブラリーをcDNAをプローブにしてスクリーニングし幾つかの陽性クローンを得た。その中からプロモーター領域を含むと思われるクローンを、cDNAの部分プローブを用いて選び出した。現在プラスミドにサブクローニングし塩基配列を決定している。今後プロモーター領域をルシフェラーゼレポーター遺伝子につなげ、goosecoidのプロモーター解析と同様にXlim-1反応エレメントの同定を目指す。 2 活性型Xlim-1をコードする合成mRNAを微量注入したアニマルキャップとコントロールのアニマルキャップを原腸胚期に回収しpoly(A)+RNAを調整し、これを元にサブトラクション・ライブラリーを作成した。その中から活性型Xlim-1で発現が増大するクローンを選び、それをプローブとしてオーガナイザーで発現する遺伝子を検索した。その結果、オーガナイザー特異的に発現するクローンを多数得ることができた。次にそれらのDNA断片をプローブとして全長cDNAを得、構造解析をしたところ、7種の新規遺伝子を同定した。その中の一つはキナーゼドメインをコードする遺伝子であった。今後、mRNA合成用のベクターにコーディング領域のみを組み込み、合成mRNAの微量注入法により、これらの遺伝子の機能解析を行う予定である。
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