研究課題/領域番号 |
09480208
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
藤沢 敏孝 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教授 (60000262)
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研究分担者 |
服田 昌之 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (00249947)
清水 裕 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (60178986)
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キーワード | ヒドラ / ペプチド性シグナル分子 / 足部形成活性化ペプチド / 神経分化 / 負のフィードバックシグナル / 正のフィードバックシグナル |
研究概要 |
淡水の腔腸動物ヒドラから発生に関与するペプチド性シグナル分子を大規模かつ組織的に分離同定するプロジェクトを進めている。本年度は以下のペプチドにつき詳細な機能解析、抗体作成、遺伝子分離をおこなった。 1.ヒドラ足部形成活性化ペプチド2種(Hym-323とHym-346):ヒドラの足部形成を促進する2種(それぞれ16と20アミノ酸残基からなる)を同定した。これらのアミノ酸配列は全く異なっているが、いずれも、足部再生の促進、足部位置情報の変更をもたらす。これらに対する抗体を用いた免疫組織化学染色により、2種のペプチドは共に上皮細胞に局在すると示唆された。また、Hym-323をコードする遺伝子断片を分離したが、Hym-323をコードする部分は1転写産物に1コピーしかないと考えられた。 2.ヒドラの神経分化を制御するペプチド:ヒドラの神経細胞は多能性間幹細胞から分化するが、その調節機構はフィードバックと考えられている。本研究で、神経分化を負に調節する4種のペプチドからなるPWファミリー(アミノ酸残基6-8)を同定した。抗PWペプチド抗体を用いた免疫組織化学染色の結果、ペプチドは上皮細胞に局在することが示唆された。一方、神経分化を正に制御するペプチド、Hym-355(アミノ酸9残基)も同定した。これはC-末端がアミド化されており、抗Hym-355抗体を用いた免疫組織化学染色の結果から神経ペプチドであることが示された。Hym-355PWペプチドを同時に作用させると、それぞれの効果が消失することから、これらのペプチドが拮抗的に神経分化を制御していると考えられた。
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