研究課題/領域番号 |
09480215
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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研究分担者 |
根本 清光 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90189366)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50264875)
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60230108)
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キーワード | 一次知覚伝達系 / 後根神経節 / 痛み / 神経栄養因子 / BDNF / GDNF / アデノウィルス / トランスフェクション |
研究概要 |
昨年度構築した各種神経栄養因子およびその受容体の各遺伝子を含む組み替え体DNAに加え、reporter遺伝子としてGFP遺伝子の組み替え体も作製した。これらのプラスミドDNAを培養細胞にトランスフエクションし、その発現をmRNA、タンパク質のレベルで確認した後、親ウィルスのDNA-末端タンパク質複合体を調製し、元の発現コスミドカセットと共に293細胞へトランスフエクションした。組換えウィルスの増殖がみられたので、そのDNAを調製して制限酵素切断による確認を行い、最終的な目的ウイルス株を得た。現在、in vivoでの遺伝子導入のための基礎実験を行っている。以上の実験と平行して、一次知覚ニューロンに対する各種神経栄養因子の役割と作用について基礎的検討を進めた。痛覚伝達に関与する小型のDRGニューロンには、SPやCGRPを含みNGFに依存するものと、GDNFに依存するものの2種類があり、それぞれの役割が注目されているが、我々はGDNF依存性のニューロンの化学的特徴について検討した。また、somatostatinを含有するニューロン群は、GDNF衣存性であることを明らかにした。ヒスタミンのH1-リセプター(H1-R)を発現するニューロンは、SP/CGRP産生細胞とは重ならないことから、これらもGDNF衣存性であると思われる。一方、NGF依存性のDRGニューロンはBDNFを産生するが、炎症時にはその産生が増加し、後角ニューロンの感作に関与する。一方、神経損傷時には小型ニューロンでのBDNF産生は低下し、NPY陽性の大型ニューロンで新たな産生が始まることがわかった。このような神経栄養因子産生の可塑的変化がneuropathic painの発症に関与する可能性が考えられ、来年度は上記のBDNF遺伝子を組み込んだAdVを使って、DRGでBDNFを過剰に産生させた時の動物の疼痛関連行動を観察することにより、痛覚伝達系におけるBDNFの役割を明らかにする。
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