研究課題/領域番号 |
09480216
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
松本 陽 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理研究部門, 副参事研究員 (90173921)
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研究分担者 |
神山 邦子 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理研究部門, 主事研究員 (80301795)
川添 陽子 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理研究部門, 主事研究員 (60281705)
田沼 直之 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理研究部門, 研究員 (00281676)
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キーワード | 中枢神経 / 競合PCR / サイトカイン / 自己免疫性脳脊髄炎 / グリア細胞 / STAT |
研究概要 |
昨年度は自己免疫性脳脊髄炎を発症して炎症病変の形成と消退過程にある中枢神経系におけるサイトカインの変動をcompetitive PCR法により検索し、TNF-α(tumor necrosis factor-α)とIFN-γ(gamma interferon)が炎症の形成に、IL-10とTGF-β(transforming growth factor-β)が炎症の消退に関与することを明らかにした。 本年はさらに、サイトカインが対応するレセプターに結合すると活性化する分子の一つであるSTAT(signal tranceducers and activators of transcription)蛋白の局在とmRNAの変動について解析した。その結果、IL-12によって活性化されるSTAT4はミクログリアに発現し、EAE極期で最大の発現を示し、炎症促進的に働いていると考えられた。一方、STAT3はIL-10を含む種々のサイトカインや神経栄養因子によって活性化することが報告されているが、本研究では回復期に最大となること、アストロサイトに主に発現することが示された。この所見より、STAT3はEAEの系では主に炎症抑制的なシグナルによって活性化されていることが示唆された。 このように、自己免疫的機序により中枢神経に浸潤した炎症細胞は種々のサイトカインを分泌し、これに対応するサイトカイン・レセプターを発現している細胞の情報伝達物質を活性化する。その結果、活性化した細胞は新たなサイトカインを分泌して炎症細胞や他の脳細胞の機能に影響を与えるといったネットワークが存在することが示唆された。
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