研究概要 |
1.抗PSD抗体を作成しラット大脳のcDNAライブラリーからエクスプレッションクローニングを行った.その結果いくつかのクローンを拾った.そこには既知のタンパク質(スフォドリン,プレクチン,ニューロフィラメント)をコードするものもあったが,未知の遺伝子も含まれていた.未知のものについて,さらにクローニングを進めて,より長い配列を読む作業を続けている.現在までのシークエンスでホモロジー検索を行った結果,rasGAPタンパク質のカルボキシル末端側半分とホモロジーのある遺伝子であったので,新規のrasGAPproteinの可能性がある.Northen blotによるとメッセンジャーは約6キロベースで,比較的発育の早い段階から発現しており,老化脳では発現が減少していた.現在さらに,open reading frameの全長を求めてクローニングを続けている. 2.PSDタンパク質と反応性のあるもう一種の抗体を用いたエクスプレッションクローニングも行った.その結果,全長3.6キロベースのDNAがクローニングされた.ORFは約2.5キロベースであった.Northern blottingおよびIn situ hybridizationでは,脳に幅広い発現がみられた.アミノ酸配列ではメンブレンと細胞骨格とのクロスリンクタンパク質であるtalinやその類タンパク質とカルボキシル末端側半分にホモロジーがみられた.現在,フュージョンタンパク質を発現させ,抗体を作成中であり,今後はタンパクの発現場所,シナプス後肥厚部(PSD)との関係などを明らかにする計画である.
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