研究課題/領域番号 |
09480235
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
川口 泰雄 理化学研究所, 運動回路網研究チーム, チームリーダー(研究職) (40169694)
|
研究分担者 |
加藤 聡子 理化学研究所, 運動回路網研究チーム, テクニカルスタッフ(
窪田 芳之 理化学研究所, 運動回路網研究チーム, 研究員 (90192567)
|
キーワード | 大脳皮質 / GABA / 非錐体細胞 / ノルアドレナリン / ソマトスタチン / コレシストキニン |
研究概要 |
脳幹部の青斑核から来ているノルアドレナリンは、皮質細胞からのGABAと共に、大脳皮質のニューロンの応答に影響を与えている。皮質内で、両者は相互作用する可能性もある。GABA作働性ニューロンに対するノルアドレナリンの作用を、ラットの前頭皮質で生理学的・薬理学的・免疫組織化学的手法を組み合わせて調べた。ノルアドレナリンはアルファ受容体を介して、錐体細胞にGABA作働性の抑制性電位を引き起こした。これはテトロドトキシンで抑えられ、GABAニューロンの興奮によると考えられたので、GABAニューロンのタイプごとにノルアドレナリンの作用を検討した。ラット前頭皮質のGABAニューロンは生理学的にFS細胞・LS細胞・RS/BS細胞に分けられるが、どれもノルアドレナリンによって細胞体の静止膜電位が影響を受けた。RS/BS細胞の中には、ペプチドのソマトスタチン・コレシストキニンを持つ細胞がある。FS細胞・LS細胞・ソマトスタン細胞とコレシストキニン細胞の一部は、アルファ受容体を介して興奮するが、スパイク発射まで起こしたのは、ソマトスタン細胞とコレシストキニン細胞の一部だけであった。コレシストキニン細胞の中には、過分極を起こすものもあった。このように、ノルアドレナリンは錐体細胞に直接作用するだけでなく、発火・抑制様式の異なるGABA細胞のサブタイプを介して影響する。また、ノルアドレナリンのGABA細胞のサブタイプごとの作用は、同じく皮質の活性化に関与するアセチルコリンの作用とは異なる。ノルアドレナリンとアセチルコリンは、皮質のGABA作働性回路を異なる方法で制御して、皮質の活性状態に影響すると考えられる。
|