研究課題/領域番号 |
09480236
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
八尾 寛 東北大学, 医学部, 教授 (00144353)
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研究分担者 |
石井 邦明 山形大学, 医学部, 助教授 (10184459)
佐伯 修一 愛媛大学, 保健管理センター, 教授 (80145078)
梅宮 正志 東北大学, 医学部, 助手 (50271911)
河 和善 東北大学, 医学部, 助教授 (70125839)
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キーワード | シナプス前終末 / アドレナリン性受容体 / cGMP / グアニル酸シクラーゼ / プロテインキナーゼ / 開口放出 / シナプス可塑性 / カルシウム |
研究概要 |
ニワトリ胚毛様体神経節を用いて、報告者らがすでに発表した新しいアドレナリン性受容体の細胞内情報伝達機序を解析した。α-アドレナリン性受容体アンタゴニストとβ-アドレナリン性受容体アンタゴニストの共存下において、ノルアドレナリンはシナプス前終末からの伝達物質放出を増強した。このノルアドレナリンの作用は、cGMP特異的フォスフォジエステラーゼを阻害することにより促進された。また、膜透過性cGMPアナログ、8Br-cGMPにより、伝達物質放出が増強された。このとき、ノルアドレナリンの追加により付加的な増強は認められなかった。これに対し、cAMP特異的フォスフォジエステラーゼの阻害は、ノルアドレナリンの作用を促進しなかった。また、8Br-cAMPは伝達物質放出を増強しなかった。ノルアドレナリンの追加は、コントロールと同程度の増強を引き起こした。以上により、cAMPではなくcGMPが、ノルアドレナリン増強のセカンドメッセンジャーであることが示唆された。パッチ電極を介してシナプス後細胞に高濃度のcGMPを投与した状態においても、ノルアドレナリンは、非投与時と同様の伝達物質放出の増強を引き起こした。このことから、cGMPはシナプス前終末で増大していることが示唆された。ノルアドレナリンの作用は、cGMP依存性プロテインキナーゼPKGの特異的阻害薬により、著明に抑制された。以上の結果をまとめると、報告者らが見いだした新しいノルアドレナリン受容体は、グアニリルシクラーゼを活性化し、シナプス前終末内においてcGMPを増大させる。cGMPはPKGを活性化し、開口放出関連蛋白をリン酸化することにより、細胞内Ca^<2+>センサーのCa^<2+>受容能を増大させることにより、シナプス小胞のCa^<2+>依存性開口放出を増強することが示唆された。
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