研究課題/領域番号 |
09480244
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠井 憲雪 東北大学, 医学部, 教授 (60001947)
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研究分担者 |
平林 真澄 (株)ワイエスニューテクノロジー研究所, 室長
三好 一郎 東北大学, 医学部, 助手 (10183972)
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キーワード | ウイルソン病 / Ptype-ATPase / LECラット / 劇症肝炎 / 神経型 / マイクロインジェクション / トランスジェニックラット / ファウンダー動物 |
研究概要 |
ウイルソン病の遺伝子は酵素蛋白P type-ATPaseをコードしている。この疾患には大きく分けて肝硬変や肝炎を発症する肝型と精神障害を引き起こす神経型および両型のハイブリッド型が知られている。それぞれの病型の相違は、遺伝子欠損部位やその欠損様式による酵素蛋白質の機能の障害の程度に依存している可能性が示唆された。しかし、この仮説が正しいか否かは証明されていない。一方、ウイルソン病モデルであるLECラットの遺伝子異常は、P type-ATPase遺伝子の3'側の数百塩基にわたる大きな欠失であり、その遺伝子は全く発現していない。そしてその病型は、劇症肝炎を起こす肝型である。つまり、ヒトウイルソン病の肝型の患者の性質と一致している。 この研究はヒト由来P type-ATPase cDNA遺伝子のLECラット受精卵への導入により、このラットの劇症肝炎の発症を押さえられるか、また、こ遺伝子に各種の変異を挿入し、この遺伝子をLECラット受精卵へ導入することにより、このラットの病型を変えることが出来るかを目的とした。今年度も昨年度に引き続きヒト由来の正常P type-ATPase cDNA遺伝子のLECラット受精卵への導入により、このラットの劇症肝炎の発症を押さえられるか否かを目的に、研究を行った。 まず、ヒト由来P type-ATPase cDNA遺伝子のコンストラクトを作製し、つぎにLECラットに過剰排卵を誘起し、交配後、受精卵を採取した。遺伝子をマイクロインジェクション法にて受精卵に注入し、偽妊娠ラットに移植しトランスジェニックラットを作製した。十数匹のファウンダー動物が誕生し、F1の繁殖を行っているが、産子の死亡率が高く、成功していない。引き続きファウンダーの作製とF1の作製を行い、肝炎の発症の有無を観察するつもりである。
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