研究課題/領域番号 |
09480252
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山越 憲一 金沢大学, 工学部, 教授 (40014310)
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研究分担者 |
中川原 実 NECメディカルシステムズ(株), 基盤技術部, 開発課長
田中 志信 金沢大学, 工学部, 助教授 (40242218)
小林 勉 金沢大学, 医学部, 教授 (40019922)
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キーワード | 血圧計測 / 心拍出量計測 / 容積補償法 / アドミタンス法 / 電極 / 自律神経 / 日常行動 / 循環調節 |
研究概要 |
1. 健常人並びに各種疾患を伴う被験者に於ける実験とデータ解析: 自律神経系の活動を評価するため、圧受容体反射に着目し携帯型連続循環動態モニタリングシステムを用いて計測及び解析を試みた。健常人を対象として、起立行動に伴う循環動態の変化を調査した結果、行動に伴う最高血圧の低下率及び末梢循環抵抗の減少率や減少から増加に転じるまでに要する時間に関して、日常生活での同様の行動は「見込み動作」と同様の変化を呈し、圧変動の抑制を促進している事が確認された。また、この現象を利用し、末梢循環抵抗を支配する交感神経の活動評価の可能性が示唆された。一方、臨床に於ける各種の疾患を有する被験者を対象として、チルディングベッドによる姿勢変化に伴う循環動態の変化を調査した。同一疾患を有する複数の被験者に於いて、循環動態、例えば血圧・一回拍出量・心拍出量・抹消循環抵抗の変化は一様では無く、心拍数のみ個体差無く一様な変化が観察された。これらの計測に利用した携帯型連続循環動態モニタリングシステムの心拍出量計測の精度評価について、各種の疾患を有する被験者を対象として実施された。その結果、計測値を絶対値としてでは無く相対的変化の指標として用いるべきである事が確認された。また、心拍出量計測に於ける通電電極の形状と配置を検討し、臨床応用に適した安静仰臥位での、テープ電極のスポット電極への置き換えに成功した。 2. 総合的評価:これまでの研究成果を総合すると、日常行動下に於ける健常人を対象とした自律神経系の活動を評価するには、時間領域の解析では、Bertinieriら(Amer J Physiol, 254, 1988)の提唱する圧受容体-心臓反射感度の推定、周波数領域での解析では、心拍間隔の揺らぎのパワースペクトル密度及び血圧対心拍間隔・血圧対末梢循環抵抗の伝達関数の解析が利用可能である。但し、これらの評価方法は高運動負荷時には高位中枢神経の関与により推定精度の低下は避けられない。
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