研究課題/領域番号 |
09480258
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京大学 (1998-1999) 東京理科大学 (1997) |
研究代表者 |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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研究分担者 |
千葉 丈 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30100085)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | ブロック共重合体 / 高分子ミセル / DNA / 遺伝子ベクター / ポリイオンコンプレックス / ルシフェラーゼアッセイ / 遺伝子デリバリー |
研究概要 |
性質の異なる二種類の連鎖からなるブロック共重合体は、水中で会合することによってcore-shell型の直径数十nmのミセルを形成する。このような高分子ミセルは低分子ミセルに比べて、ミセルを構成する高分子鎖のミセルからの解離速度が小さく、極めて高い構造安定性を実現することが可能である。また内核は、外界から隔離されたミクロ環境を形成し、DNAなどの血中安定性が低い物質のミクロリザーバーとしての機能が期待される。このようなブロック共重合体ミセルについて、本研究ではまず、粒径や安定性に及ぽすブロック共重合体組成の効果を明らかとし、遺伝子キャリアとして用いる際の基礎データを蓄積した。さらに、ミセル形成の駆動カとして静電相互作用を利用することを着想し、荷電性セグメントを有するブロック共重合体と合成あるいは天然の高分子電解質との間でのポリイオンコンプレックス形成に基づく新たな会合体としてポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルを創製し、その基礎物性を明らかとした。引き続き、この様な基礎的知見を元に、プラスミドDNAならびにアンチセンスDNAを内核に効率良く包含するPICミセルの作成条件を確立した。DNAとブロック共重合体間で形成されるPICミセルは、DNA内包coreを親水性のPEG鎖が覆うという二相構造を有するために、電荷中和条件においても高い水溶性を維持し、かつ内包DNAが核酸分解酵素耐性を獲得することが明らかとなった。さらに、細胞への遺伝子導入をルシフェラーゼアッセイによって調べたところ、特に、ポリカチオン鎖の長い系、すなわち、ポリアニオンとの交換が起こり難くかつ核酸分解酵素耐性の高い系において著しく高い発現が得られることが判明した。このようなミセルは、in vivoにおける非特異的処理を免れ、表層に装着したリガンドの働きによって、高い標的指向性を実現できることが期待される。
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