研究分担者 |
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (50148699)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
仲本 博 川崎医科大学, 医学部, 助手 (10299183)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
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研究概要 |
[目的]高血圧肥大心では冠予備が少なく、その原因として心内膜側の心筋虚血が考えられている。本研究では高血圧の持続時間が心内外膜側冠細動脈の血管拡張機能に及ぼす経時的変化と血管機能障害の主たる因子を明らかにする。[方法]麻酔雑種成犬の両側腎動脈に狭窄を作成し、4週間、または12週間高血圧(収縮期血圧:160-180 mmHg)を維持した。正常心(Normal,n=8頭,左室壁厚9±1mm)と4週後の高血圧心[HT(4w),n=9頭,左室壁厚12±1mm,vs.N,p<0.01]、12週後の高血圧心[HT(12w),n=5頭,左室壁厚14±1mm]のアセチルコリン(1.0μg/kg)、パパベリン(1mg)、シラザプリル(10μg/kg)の冠動脈内投与に対する心内外膜側細動脈の血管拡張反応をCCD生体顕微鏡で観測した。[結果]アセチルコリンに対する心内膜側細動脈の血管拡張反応は高血圧群の4週、12週ともに正常心に比べ減弱し(4w,p<0.05i12w,p<0.001)、心外膜側細動脈では12週でのみ反応性の低下を認めた。パパベリンに対する血管拡張反応は、12週高血圧群の心内膜側細動脈でのみ正常に比べ減弱した(p<0.01)。シラザプリルに対する血管拡張反応は、高血圧群の4週、12週ともに、心内外膜細動脈(心内膜側:N=13%,4w=13%,12w=15%;心外膜側N=13%,4w=13%,12w=11%)において良好な血管拡張反応を示した。[結論]ACE阻害剤による心内膜側細動脈の血管拡張反応は12週の高血圧群において良好であったが、同時期において心内膜側細動脈の内皮依存性および非依存性血管拡張反応は障害された。比較的長期高血圧における心内膜側血管拡張反応は内皮依存性・非依存性因子ともに障害されたが、なかんづくangiotensin IIの関与が大きいことが窺われた。
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