研究課題/領域番号 |
09490001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仁平 義明 東北大学, 文学部, 教授 (10007833)
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研究分担者 |
畑山 俊輝 東北大学, 文学部, 教授 (90048801)
樋口 広芳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10111486)
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キーワード | ハシボソガラス / 道具使用 / クルミ / 学習 / 伝播 |
研究概要 |
1)自動車利用行動のヴァリエーションとその要因に関する調査 ハシボソガラスが自動車にくるみをひかせて中の子葉部分を食べる自動車利用行動が仙台市で頻繁に見かけられた。本年は、仙台市内における自動車利用行動の観察を継続し、行動のバリエーションをつくりだす変数とその範囲について、調査を行った。とくに、環境変化によって、行動の地点が大きく変動することが確認された。また、認知心理学のスキーマ論から行動のバリエーションの記述が観察結果にあてはまりがよかった。また、仙台市内については、これまで目撃報告のなかったいくつかの地点についても、行動がみられることが確認された。 2)個体識別による伝播過程の解明のための調査 伝播過程を確認する初期ステップとして、行動のみられる近傍にわなを設置しカラスの捕獲を行い標識付けを行った。これによって、個体識別が可能になり、標識のある個体が自動車利用行動を開始した場合、その行動の学習過程を追跡することが可能になった。 3)採餌行動としての自動車利用行動の位置づけに関する調査 自動車利用行動の発生に先行すると考えられるクルミ投下行動と自動車利用行動の関連について調査を行った。その結果、ハシボソガラスは二つの行動を柔軟に移行させて使用することが確認された。また、投下行動の行動特性の詳細な行動分析を開始した。 4)国内の自動車利用行動についての調査 自動車利用行動が報告される国内の各地点について、植生や交通の実態など、環境特性の実地視察を行い、やはり、停止可能性や交通量が適度であることが、重要な要因であることが推測された。
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