研究課題/領域番号 |
09490001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仁平 義明 東北大学, 文学部, 教授 (10007833)
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研究分担者 |
畑山 俊輝 東北大学, 文学部, 教授 (90048801)
樋口 広芳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10111486)
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キーワード | ハシボソガラス / 道具利用 / クルミ / 学習 / 伝播 |
研究概要 |
・ハシボソガラスがクルミを車にひかせて子葉部分を食べる自動車利用行動は、宮城県仙台市近辺で頻繁に観察される道具利用行動である。この行動は、同じハシボソガラスが行うクルミなどを上空から投下する投下行動から移行した行動であると考えられる。投下行動の母型となる行動パターン自体が生得性の行動であるかどうかを検証するために、多数例の投下行動の記録を行い、その運動パターンの定型性を検討した。その結果、投下行動のパターンには、いくつかの類型がみられることが確認された。また上昇高度によって投下パターンに違いがみられる傾向があった。しかし、投下面の特性による行動パターンの変動性は低かった。また、投下によって割れないときは、次の高度は、一般に上昇する傾向がみられた。したがって、投下行動は、短期的にも、かなり適応的なチューニング成分を含んでいるといえる。この結果は、貝の投下行動についてのZack(1978)の報告と一致している。 ・自動車利用行動と投下法のエネルギー効率を比較した。その結果、自動車利用行動と投下法の間で、エネルギー効率に有意な差はないことが明らかになった。 ・投下法についての基礎資料を得るために、クルミの投下実験を行った。その結果、高度約13mからの投下条件では、5回の投下によって累積80%近くのクルミが採食可能な程度に割れることが確認された。投下による割れやすさは、乾燥度によって影響を受けていた。 ・宮城県以外の観察報告の現地調査では、本年は、自動車利用行動の安定した観察をえることができなかった。この行動の全国的な拡がりの可能性については、なお、検討を要する。
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