平成10年度は看護学生(15時間)、看護教官養成コース生(6時間)、ターミナルケア専門家(2時間)を初めて対象として臨床人間学の教育実践をした。大学生(今年度は97.5時間)、大学院生(10.5時間)、社会人と同様にこれらの対象者にも大きなインパクトを与え得ることが判明した。また今年度は通年で行うユニット(一般大学生対象)で課題を生・老・病・死・人間を周期的に回る方式を試み、安楽死と尊厳死のような類縁のテーマが連続しない点で長短はあるが一般には好評であった。また今年度は医学3年生対象に「人間関係論」のユニットで家族・性・世代・教育・愛の5テーマを取り上げ、好評を得た。 今年度の新知見としては、対象を広げても大きなインパクトを与え得ること、長期に渡るユニットでの学習順序は周期的な方法も良いこと、生・老・病・死・人間からさらに具体的な家族・性・世代・教育・愛なども臨床人間学のテーマとして適していることなどが判明した。これらを、日本内科学会講演会、日本高等教育学会、日本医学教育学会、学校における生命倫理教育ネットワーク、日本生命倫理学会、日本臨床死生学会・日本医学哲学・倫理学会合同大会、つくば国際生命倫理円卓会議、国際生命倫理学会世界会議などで報告し、内科専門医会誌、医学教育、筑波フォーラム、日本内科学会雑誌、がん看護、現代のエスプリなどに論文を発表してきた。なお研究代表者は平成10年度の医学教育賞懸田賞を授賞した。 来年度の計画としては、社会人対象のユニットを大学で開講する、Association forMedical Education in Europeの会議などに臨床人間学の概要を発表する、臨床人間学の課題を中心にまとめる。
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