反射法地震探査を軸とした北海道中央部の地殻短縮速度の解明-北米・ユーラシアプレート境界の検討-

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09490009
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 佐藤 比呂志 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00183385)
• 研究分担者: 伊藤 谷生 千葉大学, 理学部, 教授 (50111448) ; 平川 一臣 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (40126652) ; 今泉 俊文 山梨大学, 教育学部, 教授 (50117694) ; 平田 直 東京大学, 地震研究所, 教授 (90156670) ; 岩崎 貴哉 東京大学, 地震研究所, 教授 (70151719)
• キーワード: 反射法地震探査 / 伏在活断層 / 活褶曲 / 断層褶曲帯 / 地殻構造 / 北海道 / プレート境界 / 石狩低地帯

研究概要

北海道中軸帯は、かっての北米-ユーラシアプレート境界とされ、かつての下部地殻が日高中軸帯に露出するほか、地球物理学的にも特異な地殻構造・地殻活動を示すことが知られている。北海道中軸帯における短縮変形は第四紀には終息し、日本海東縁にプレート境界が移動したとされるが、北海道中軸帯における第四紀後期の水平短縮変形については、その実態が明らかにされていない。
平成9年度は、日高中軸帯の西側に隣接する石狩低地帯において高分解能反射法 地震探査を実施し、地表下1.5kmほどの深度に伏在する低角の街上断層に伴う成長褶曲を見いだした。変動地形調査の結果、この伏在断層が第四紀後期以降にも活動していることが明らかになった。
平成10年度には、日高山脈の地殻構造探査実験に参加し、この伏在断層の東方深部延長を明らかにする目的で、東側に受振器を展開し深部地殻からの反射波を記録した。結果は現在処理中であるが、石狩低地帯に伏在する低角度の街上断層は、その60km東方の日高山脈下まで延長され、十勝平野西縁まで及んでいる可能性が強い。また、北海道北部の天北や日本・海の天売・焼尻島での変動地形調査を実施し、北海道中軸部から西方に広がる断層褶曲帯は、第四紀後期にも活発に変動していることが明らかになった。
北米/ユーラシアもしくはアムール/オホーツクプレート境界は、直線で表現されるものではなく、北海道中軸部の西側から日本海東縁に及ぶ広い範囲で、短縮成分を賄っている。

研究成果

• [文献書誌] 佐藤比呂志・平田 直: "活断層の深部構造と日本列島の成立" 科学. 68. 63-71 (1998)
• [文献書誌] 佐藤比呂志・平田 直・岩崎貴哉: "東北日本の地殻構造と新生代テクトニクス" 地球. 23(印刷中). (1999)
• [文献書誌] Iwasaki,T.他5名: "Lateral structural variation across a collision zone in central Hokkaido,Japan,as revealed by wide-angle seismic experiments" Geophys.J.Int.132. 435-457 (1998)
• [文献書誌] 伊藤谷生: "日高山脈に島弧の衝突をみる-反射法地震探査で島弧深部構造に挑む" 科学. 68. 72-78 (1998)
• [文献書誌] 伊藤谷生、佐藤比呂志、井川 猛: "反射法地震探査の発展と構造地質学の新たな展望" 地質学論集. 50. 177-192 (1998)
• [文献書誌] Arita,K.,Ikawa,T.,Ito,T.,ほか: "Crustal structure and tectonics of the Hidaka Collision Zone,Hokkaido(Japan),revealed by seismic reflection and gravity surveys" Tectonophysics. 290. 197-210 (1998)
• [文献書誌] 伊藤谷生 他: "日高衝突帯におけるデラミネーション-ウェッジ構造" 地球. 23. 130-136 (1999)
• [文献書誌] 平田 直・岩崎貴哉・佐藤比呂志: "島弧地殻の変形過程と内陸大地震の発生機構の解明" 地球 号外. 20. 12-15 (1998)
• [文献書誌] Sato,H.ほか5名: "8th International Symposium on Deep Seismic Profiling of the Continents and their margins" Growth fault-bend folding along the boundary between Erasia and North American plates in the axial zone of Hokkaido,Japan, 121-122 (1998)