1. インテグリンαvプロモーター領域における転写制御エレメントの解析(研究代表者、林正男) インテグリンαvプロモーター領域(-108bpから+1bp)において3個所の転写制御部位があることをマウスメラノーマ細胞B16F10において同定した。第1の部位は、-27bpから-16bpまでの領域である。この部位に、転写因子Splが結合することを、抗Spl抗体を用いたゲルシフトアッセイで明らかにした。また第2の部位は、-61bpから-54bpの領域であることを、そして第3の部位は、-106bpから-98bpまでの領域にあることを明らかにした。第2、第3の部位への核タンパク質の結合が転写因子Ets結合配列をもつ合成DNAにより阻害されることから、これらの部位には、Etsが結合することが示唆された。上記3個所の転写因子結合部位は、それぞれ欠失や塩基置換をすることにより著しくプロモーター活性が減少した。またEts-1及びSplをB16F10細胞に強制発現させることによりプロモーター活性が3倍に上昇した。これらの結果から、インテグリンαvプロモーター活性がEts及びSplにより制御されていると考えている。 2. ビトロネクチンプロモーター領域に結合する核タンパク質の解析を行う(研究分担者、宮本泰則) ビトロネクチンプロモーター領域(-19bpから+54bp)は、ヒト肝癌HepG2細胞の核タンパク質と単一の複合体を形成する。この結合部位を、塩基置換を行った合成DNA断片による阻害実験で解析した。その結果、3個所の結合部位、-19bpから-15bp、+11bpから+15pb、+37bpから+48bp、を明らかにした。
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