1.インテグリンαvプロモーター領域におけるシスエレメントの解析(研究代表者、林正男) αvプロモーター領域にEts結合部位が-106から-99bpと-61から-54bpの2カ所あることが同定されていたが、このうち、-61から-54bpの結合部位に結合する因子はEts-1であることが抗体阻害の実験により明らかにされた。また-106から-99bpに結合する因子は、Ets-1とは異なるEtsファミリーの因子であることが示された。またメラノーマ細胞以外におけるαvプロモーターの構造を調べるため、マウス胚性腫瘍細胞株P19細胞の神経細胞への分化の系を使うことにした。レチノイン酸処理により神経細胞へと分化するが、神経細胞への分化に伴いαvの転写量が増大することを見いだした。 2.ビトロネクチンプロモーター領域におけるシスエレメントの同定(研究分担者、宮本泰則) ビトロネクチンのプロモーター領域を解析するにあたり、神経分化におけるビトロネクチンの発現変化に着目した。αvのところでも述べたP19細胞株のレチノイン酸による神経細胞への分化の系で、ビトロネクチンの発現変化をRT-PCRにより調べた。その結果、レチノイン酸処理によりビトロネクチンの発現が誘導され、神経細胞へ分化する直前が未分化の時の約10倍にまで上昇し、最大になり、その後分化に伴い減少に転じた。神経細胞へ分化したときには、未分化の細胞とほぼ同じ発現レベルになっていた。神経に分化する前に培地中に坑ビトロネクチン抗体を添加することにより、神経細胞への分化が阻害され、ビトロネクチンの神経細胞分化への関与が示唆された。
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