研究課題/領域番号 |
09490019
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
角田 範義 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30201411)
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研究分担者 |
大北 博宣 豊橋技術科学大学, 工学部, 教務職員 (20262967)
水嶋 生智 豊橋技術科学大学, 工学部, 講師 (60239233)
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キーワード | 近赤外分光法 / 赤外分光法 / 固体酸 / 水酸基 / 酸強度 |
研究概要 |
近赤外領域(4000cm^<-1>〜10000cm^<-1>)では種々の結合音や倍音を検出することが可能であり、特に固体酸触媒の表面OH基や吸着質のOH基などの伸縮もしくは変角振動による結合音や倍音を検出することができる。特に固体酸触媒の場合、表面OH基の変角振動は主な骨格振動が現れる領域と同じ1000cm^<-1>以下の領域であるため、IR測定で検出することはかなり困難であるが、近赤外領域にまで範囲を広げると変角振動も倍音や結合音という形で検出できるため、表面OH基の情報を得ることが可能となる。今年度は、固体酸触媒上のOH基を検討する準備段階として水酸基をもつ有機物に着目し、近赤外領域でそれぞれの有機物がもつ水酸基のピークがどのように現れるのかを検討した。とくに、遊離水酸基をみるために、測定の対象となる有機物を3種類の溶媒(Benzene、CCl_4、CDCl_3)に希釈して、測定を行った。遊離水酸基の場合、4180〜4220cm^<-1>にOH変角振動の第二倍音、4780〜4850cm^<-1>に結合音(OH伸縮+OH変角)、7020〜7170cm^<-1>にOH伸縮振動の第一倍音のバンドが現れるとされている。特に、今回は7020〜7170cm^<-1>に現れるOH伸縮振動の第一倍音のバンドに注目して測定したところ、次に示すように酸強度とOH基の振動数に相関が認められた。pKaが4.5程度の場合、その水酸基のCDCl_3中での振動数は約6890cm^<-1>付近に現れる。また、pKaが3程度の強い酸になると水酸基の振動数は6850cm^<-1>までシフトする。その間の強さを持つ酸は、この水酸基の振動数の間に位置し、酸性を持つ水酸基と振動数との間には、相関関係があることが認められた。このことは、固体酸触媒の表面OH基と酸強度の関係を明らかにしていく上で重要な指針となる。
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