1.イネまたはタルホコムギのバクテリア人工染色体(BAC)クローンを染色体別にプールしてプローブとして、タルホコムギやパンコムギなどのイネ科穀類の染色休に対して、多色FISH法で染色体ペインティング(彩色)を行った。3種類の蛍光色素を組み合わせることによって、各染色体由来のプローブを異なった色ですべてを区別するような標識-検出系のシステムの開発に成功した。また。この染色体彩色の技術によって、イネ科穀類の1つであるシコクビエあるいはピーナッツやコーヒーなどの4倍性有用植物ののゲノム提供種を同定することができた。 2.タルホコムギのBACライブラリーから500クローン(一部は各種病虫害低抗性遺伝子、種子貯蔵蛋白質遺伝子、澱粉生合成系遺伝子などの有用遺伝子を含む)選び、コムギおよび他の穀類の中期染色体に多色FISHを行い、染色体上のシグナルの位置からシンテニー解析を行った。重要遺伝子の多くは、染色体の末端にマップされ、タンデムに重複して存在していることがわかった。また、一部の遺伝子では種を超えて、シンテニーが保存されていた。 3.イネ科穀類のDNAファイバーにタルホコムギ由来の人工染色体(BAC)クローンを位置付ける方法を開発した。これによって、コンティグ作成の可視化が可能となった。 4.セントロメア領域を含むタルホコムギのBACクローンを多数単離することができ、これらクローンの詳細な解析を行ったところ、イネ、ソルガム、オオムギ、トウモロコシで報告されたセントロメア配列とホモロジーをもつ配列がみつかった。また、BACクローンやサブクローンされたものを用いてイネ科穀類の染色体にFISHを行った。さらに、DNAファイバーFISHによって各種セントロメア配列の構造を明らかにした。
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