研究課題/領域番号 |
09490029
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植田 洋匡 京都大学, 防災研究所, 教授 (70026186)
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研究分担者 |
堀口 光章 京都大学, 防災研究所, 助手 (60190253)
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60263159)
花崎 秀史 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (60189579)
烏谷 隆 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (30150527)
辰野 正和 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (70038553)
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キーワード | 密度成層 / 安定成層 / 乱流 / 乱流拡散 / 逆勾配散 / 内部重力波 / PIV / レーザー蛍光法 |
研究概要 |
極端に強い密度成層状態の物体まわりの流れでは浮力の直接的な効果によって内部重力波が生じ、物体との相互作用によって、三次元後流渦の消滅、二次元水平渦の発現など、通常とは全く違ったフローパターンが現れる。また、乱流渦運動の変化を通しての間接的効果によって、運動量とスカラー量の拡散能が減少し、極限状態では逆勾配拡散が発生する。一方、一種の安定成層である気液界面でも、液測乱流は界面近傍で波状運動に変化する。このように、極端に強い密度成層状態では、乱流運動が粘性消散することなく波状運動へ変化していく機構が本質的な役割を担っていると考えられる。本研究では、このような視点に立って、強安定成層中に存在する乱流運動と波状運動の特性と乱流から内部波への遷移過程を実験的・理論的に調べて、これらの極限現象を統一的に説明することを目的とした。将来的には安定成層流中の乱流と波の統一的な理論の構築を目指す。 格子乱流と気液界面乱流の実験 密度勾配一定の静止塩水流体層中で、水平に設置した乱流発生格子を鉛直下方に移動させたときの、等方性乱流が減衰しながら波状運動に変化する過程を追跡した。速度変動、密度変動場の詳細な情報を得るために、面的測定(各瞬間の断面内分布の測定)を行った。速度変動場の測定にPIV(Particle Image Veloci-meter)を用い、密度変動場の測定にはレーザー蛍光法を用いた。極限現象としてはアクティブスカラーの逆勾配(鉛直方向)拡散と、このときの水平方向拡散を対象とし、時間的、空間的に変動する濃度、速度場の面的な測定により、変動場に含まれる乱流と波動の分離と個々の特性の詳細を調べた。また、この面的測定法を用いて、自由表面近傍で乱流が波状運動に遷移していく過程の詳細な情報を得た。 線形理論および弱非線形理論 まず、剪断のない場合、強い安定成層場での逆勾配拡散は線形理論でかなりよく説明できることを示した。このことから、極端に強い安定成層下では非線形性は弱いと考えられる。さらに、線形理論の限界を探りながら、成層と剪断とが共存する場合についての弱非線形理論の展開を試みた。
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