研究分担者 |
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
林 成之 日本大学, 医学部, 教授 (10059503)
野崎 貞彦 日本大学, 医学部, 教授 (40198586)
堀田 一吉 慶應義塾大学, 商学部, 助教授 (60209252)
吉田 達雄 日本大学, 商学部, 教授 (50098109)
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研究概要 |
(1)基本的な問題意識 21世紀を迎えた今日、社会科学を含む諸科学の急速な専門分化と並行して、分野によっては,かつて絶えざる進歩発展の状態を象徴的に示してい日進月歩という表現では追いつかないほどの速度で,先端的な研究領域が開拓され,その成果が,さまざまな形で人類の福祉の向上に貢献してきているが,ときに科学研究が,人間あるいは社会との関係を必ずしも十分に意識しないままに進められた結果,意図せざる不幸な状況を生み出すことがある。少なくとも過去においては,こうした不幸な事態が起こり,それに対する科学者の反省の上に立って,学際的研究の重要性が強調されるようになった。本研究では,こうした点をふまえて,「健康に対する医学的なアプローチ」と「福祉に対する社会科学的なアプローチ」を核としつつ,両者を結ぶ結節環として「社会医学的なアプローチ」と「医療経済学的なアプローチ」を積極的に導入した。 (2)主要な研究内容 本研究では医学と社会科学の視点から,日英両国における健康と福祉にかかわるサービスの現状と課題の解明に努めた。具体的には,日英両国の社会経済構造の違いを、まず明らかにした上で、日英両国における医療福祉サービスの特徴を対比させ,少子高齢社会におけるコミュニティ・ケアの重要性を指摘した。また、社会保障財政についての日英比較も試みた。さらに高齢社会における医療保障・医療サービスのあり方については,医学的な視点からの有効性と経済性についての高度に専門的な脳卒中に関する分析も行った。 (3)研究の成果 本研究グループの基本的な立場は,「健康は,肉体的・精神的・社会的な人間関係を保つ機能の強化であり,人間の社会的な営みとの関係において把握すべきである」というものであるが,21世紀においては「福祉社会(Welfare Society)」からさらに一歩進んだ「健康社会(Caring Society)」を構築すべきである、というのが本研究を通じて到達した結論である。誰もが自分のことだけでなく,自分の周囲,他人に対してもケアを心がけ,誰もが,その多様な可能性を最大限度発揮できるように社会経済環境が整備されて,はじめて健康社会が到来することになる。
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