研究概要 |
異なる医療機関の間で患者情報や診療情報などの医療情報を交換する規約として策定されつつあるMML (Medical Markup Language)を解析してオブジェクト化を行うMMLパ-サを開発した。さらに、カルテ番号(患者ID)を入力するだけで、その患者が受診している医療機関からその患者の診療情報をMMLオブジェクトとして取得する仕組みであるID Lookup Systemを開発した。これらは本研究の目的である病診連携システムを構築する上での要素技術となるもので、CT, MR, X線などの画像データや検査結果などの数値データの交換を行うための外部参照の問題や、既存の病院情報システム(HIS)との連携、さらに患者プライバシー保護のためのセキュリティ確保の問題など、解決すべき課題は残されているものの、今回の研究開発で実用化に向けての基盤は確立された。また、我々の目的の大きな柱となっている「特殊なハードウェア等を必要とすることなく近隣の診療所が病診連携に加わることを可能とするようなシステムの開発」の一つとして、伝送プロトコルにSMTPを、セキュリティ確保にPGP (Pretty Good Privacy :公開鍵暗号法のひとつ)を利用した診療情報及び医療画像伝送のためのシステムをJAVA言語を用いて開発した。これは診療所からの患者紹介情報や、中核病院からのそれに対する返事(コンサルテーション情報)を暗号化して電子メールとして送信するシステムであり、インターネットの環境が整備されている医療機関であれば、特殊なハードウェアを導入することなく利用できる。開発したシステムを評価するために診療所と川崎医科大学附属病院の間で伝送実験を行ったところ、送信データの履歴管理のためのデータベース化、データ入力の簡素化、添付画像のサイズ変更など様々な課題が出たものの、概ね良い評価が得られた。
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