研究概要 |
平成9年度に開発した病診連携支援システムには(1)Javaで開発したため操作性,特にユーザインターフェースに難があった上に,(2)基本的にポイント・ツー・ポイント(1対1)での利用を念頭において開発したため,病院管理上の機能を備えていないという問題点があった.そこで,これらの問題点を解決すべく新たにシステムを再構築した.具体的には(1)については開発言語にWindowsマシンの事実上の標準開発言語になっているMicrosoft Visual Basic V5.0を使用してユーザインターフェースを強化した.また,(2)については患者紹介受入医療機関に地域医療連携係などの窓口となる部門を設置し,連携先の診療所から送られてきた紹介状をいったんそこで受信した後に院内の然るべき担当医に転送するという運用を行うようにした.さらに,担当医から紹介元に送信された返信の控えを前述の窓口へも送り,確実に返信が行われたかどうかの管理を行うようにした.このような病院運営上の管理機能を組み込んだシステムを開発し,奈義ファミリークリニック,イマイクリニック,田坂内科医院,笠岡第一病院,さとう記念病院の5つの医療機関の協力の下に運用実験を開始した.平成10年11月30日には,この病診連携支援システムを利用して岡山県笠岡市の笠岡第一病院から川崎医科大学附属病院脳神経外科の医師へコンサルテーションの依頼があった.また,同年12月3日及び4日にも,岡山県勝田郡のさとう記念病院から,プレス機に頭部を挟まれ頭蓋骨陥没骨折という重傷を負った患者の頭部CT画像が送られてきた.さらに,平成11年1月27日には,倉敷市のイマイクリニックから,高さ1メートルの橋から転落して頭部を打った1歳の男児の頭部レントゲン写真が送られてきた.いずれも本システムを使って適切なコンサルテーションを行ったり,事前に周到な受入準備を行うことができ,本システムの有効性について高い評価を受けた.
|