研究概要 |
当研究の目的の一つは,小学校中学年期・高学年期にある学習障害児の内発的動機づけが学習困難の改善に及ぼす影響について究明することである。もう一つの究極の目的は,彼らの内発的動機づけを支援する教育的手法の在り方を究明することである。具体的には,交流感・有能感・自己決定感を充足させるために大切なものだと考えている約30の手立ての内のどれが重要であるのかを究明することである。 平成10年度には,教育実践担当の研究協力者4名(小学校の通級指導教室の担当教員など)及び指導・助言担当の研究協力者5名(大学・研究所の研究者など)と協同で,5名の学習障害児を研究対象児として特定し,彼らのための第2期授業計画を作成した。その上で,作成した授業計画に準拠して,人間化(personalization)という教育的視点に立って,学習困難に応じた第2期授業を展開し,その評価を行った。また,それぞれの第2期授業場面で各研究対象児の内発的動機づけを支援するために,教育実践担当の各研究協力者が講じた交流感・有能感・自己決定感の充足手立ては,どの程度のものであったのかという評定を行った。 今後,この評定結果を統計的に処理し,小学校中学年期・高学年期の学習障害児の内発的動機づけを支援するための教育的手法としては,何が重要であるのかを解明することにする。なお,平成11年度には,平成9・10年度の研究成果を総括することで,内発的動機づけを支援するための教育的手法のより一層の解明を図ることにする。
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