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1999 年度 実績報告書

大震災救援・復興施策の法的評価と大災害予防・復興特別措置法の提案

研究課題

研究課題/領域番号 09552001
研究機関神戸大学

研究代表者

阿部 泰隆  神戸大学, 法学部, 教授 (80030617)

キーワード震災と憲法的評価軸 / 縦割行政と縦割施策 / 単線型住宅支援施策から複線型への移行 / 地震保険よりリバースモーゲージへ / 震災時における生活保護の柔軟化 / 再建より修理 / 迅速な復旧型まちづくり / 台湾における震災支援
研究概要

この研究は、これまでの施策の法的な批判的評価と代替的な立法提案を念頭においている。特に、憲法との関係において、迅速に、公平に、必要性の度合いに応じてみんなを支援するという評価軸を立てて、震災後につくられた無数の法施策を逐一検討して、日本の立法はまだまだ頭が固く、縦割りの発想にとらわれ、統一的で適切な支援策はできていないと批判した。
まず、災害対策基本法などの改正、耐震改修法などによる応急対応策にはまだ平時の発想が残るとか徹底しないなど不十分である。静岡県、東京都などの地震予防対策条例も微力である。
避難所、仮設住宅、公営住宅という単線型住宅施策は費用対効果の点でも、公営住宅の造りすぎの点でも、コミュニティの破壊の点でも、また、避難所生活に耐えられない弱者の立場からも、不適切であり、遠方への一時移転も含めて、民間住宅の借上げなり家賃補助施策を中心とするように、災害救助法を改正し、厚生行政と建設行政を調整すべきである。これを円滑にするためにも、罹災都市借地借家臨時処理法は廃止すべきである。
再開発、区画整理、マンションの再建は、前記の評価軸からすれば、高く評価することはできず、建物は修理を中心に、まちは特に危険なところ以外は大改造しない、復旧型まちづくりの手法の方が適切である。
地震保険の強制加入は法的にも実際的にも無理で、再建資金のない者のためにはリバース・モーゲージが有用である。
生活保護の運用は、震災でも硬直的で、第二生活保護のような柔軟な施策が望まれる。
自治体に大幅な裁量を認め、代わりに議会でしっかり議論し、条例化する法治行政のもとでの被災者支援策を講ずるべきである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 阿部泰隆: "生活再建へ迅速に個人支援-ノースリッジ被災者支援策から学ぶもの"ウェルフェア. 26号. 32-36 (1997)

  • [文献書誌] 阿部泰隆: "憲法上の福祉施策請求権"成田頼明先生固稀記念政策実現と行政法. 1-19 (1998)

  • [文献書誌] 阿部泰隆: "災害被災者の生活再建支援法案(上)"ジュリスト. 1119号. 103-112 (1997)

  • [文献書誌] 阿部泰隆: "災害被災者の生活再建支援法案(下)"ジュリスト. 1121号. 132-138 (1997)

  • [文献書誌] 阿部泰隆: "大震災対策における(憲)法解釈と法政策"公法研究. 61号. 151-172 (1999)

  • [文献書誌] 阿部泰隆: "台湾政府の震災復興施策-台湾九二一震災後再建マニュアルを中心として-"近代消防. 2月臨時増刊号. 84-89 (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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