研究課題/領域番号 |
09553001
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西口 清勝 立命館大学, 経済学部, 教授 (20039465)
|
研究分担者 |
茶谷 淳一 名古屋短期大学, 教養科, 助教授 (30236822)
宋 立水 明治学院大学, 経済学部, 講師 (80287896)
藤田 和子 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (80209048)
西澤 信善 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30164552)
松野 周治 立命館大学, 経済学部, 教授 (10128457)
|
キーワード | アジア通貨・経済危機 / コンディショナリティ / 貿易保険制度 / 中国 / ベトナム / ビルマ式社会主義 / 国有企業改革 / ドイモイ |
研究概要 |
本年度の研究活動を通じて得られた研究実績として、以下の事柄を挙げることができる。97年7月のタイ・バーツ切り下げ以降のアジア通貨・経済危機は98年度においても依然として回復の兆しを見せていない。東アジアのNIES、ASEAN諸国のこの深刻な危機を前にして、(1)IMFによる処方箋(コンディショナリティ)の限界を解明し(西口)、(2)日本の対アジア援助の新たな方向として「貿易保険制度」の役割を明らかにし(茶谷)、さらに(3)これまでその影響が軽微であった台湾経済の特質に迫った(宋)。他方、アジア移行諸国に対してもアジア通貨・経済危機の影響は次第に大きな影響を及ぼした。「成長のエンジン」たる外資導入と工業製品輸出の停滞は共通にみられるが、(4)中国の国有企業改革に切り札たる株式制度にとって香港株式市場での上場の停滞と資本導入の遅れが持つ意味は大きく(松野・井手)、(5)「東アジアの経済発展モデル」たる輸出指向型工業政策(EOI)のベトナム版たるドイモイ政策への批判的検討が行われ(藤田)、(6)より根源的にビルマ式社会主義の限界についての検討も行われた(西澤)。さらに(7)乏しい資料・統計類の制約あるものの北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)経済の現状への接近も試みられている(斐)。 これらの研究成果を踏まえて、次年度は全体的な取り纏めを行う。その際、アジア経済の回復のための日本の役割の検討がひとつの中心テーマとなろう。日本の投資・技術移転(米倉)、開発金融(田口)、ODA(川原)等々についてより深く研究し、アジア移行諸国の市場経済化と環境保全(唐沢)のための政策提言を仕上げる予定である。
|