研究課題
基盤研究(B)
ウェーブレット解析の科学観測データ処理への応用するための基礎的研究を行なった。地球科学領域における時系列データ例として地震加速度記録を念頭において、時間周波数平面における基線補正を行なう方法としてデータをウェーブレット展開し、ウェーブレット係数に関するLagrange未定定数法を用いる方法を開発した。この方法はウェーブレット展開を用いるため時問周波数面における局所補正を可能とするが、ここではさらに加速度記録から速度あるいは変位を求めることを考慮して、積分演算に対して有利なウェーブレットを開発することをめざした。問題を数学的に一般化し、スケール変換に対して不変な線形演算子をブロック対角化する双直交ウェーブレットの構成を課題とした。この結果、双直交ウェーブレットによってブロック対角化/半ブロック対角化可能であるための線形演算子に対する条件が得られ、この条件を満たすものとして、Rieszポテンシャル、微分Hilbert変換、Abel変換、をブロック対角化/半ブロック対角化する双直交ウェーブレットを構成した。数値的検討から、このときそれぞれの表現行列の要素は対角線から遠ざかるにつれ急速に減衰していることが明らかとなった。これは、表現行列は事実上バンド対角行列として扱えること、従って高速数値処理が可能であることを示している。この他、ウェーブレットの工学的応用として摩擦や振動吸収その他の問題における手法を検討・提案した。
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