研究課題/領域番号 |
09554009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 真人 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (40242094)
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研究分担者 |
古川 広市郎 松定プレシジョン株式会社, 技術部, 主任(研究職)
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キーワード | 宇宙線望遠鏡計画 / 最高エネルギー / 人工衛星 / 蛍光検出器 / イメージインテンシファイア / CCDカメラ / テレスコープアレイ |
研究概要 |
現在推進ている宇宙線望遠鏡計画のような巨大地上蛍光望遠鏡アレイにて、10^<21>eV以上の最高エネルギー宇宙線が有意に観測されたならば、新たなるエネルギーフロンティアの幕開けとなる。また、検出頻度の少ないニュートリノによる最高エネルギー空気シャワーに対しても、さらに有効検出感度の高い検出器が必須となるであろう。大気透明度や建設・維持の現実性から、地上蛍光望遠鏡アレイをスケールアップするより、人工衛星から大気を睨む蛍光望遠鏡を用いる計画が提唱され始めている。しかし、人工衛星搭載という特殊環境での地上1000km四方を視野に入れる光集光検出器で、技術的可能性を確証されたものは今だ無い。 本研究では人工衛星搭載蛍光検出器計画に向けて、基礎的である大気蛍光センサーの開発をした。100万平方キロメートルの領域で起こる蛍光現象を最終的に100万画素程度の読み出し光検出器にて撮像しなければならない。その際、許される電力は全ての電気回路を含めて、1画素あたリミリW以下に押さえないといけない。さらに、そのセンサーには撮像能力以外に、トリガーをどのように生成するか、また、宇宙線の方向を決定するときに重要な時間情報をいかに抽出できるかが鍵となる。 本研究では試行錯誤の結果、次のような概念設計から具体的なプロトタイプ製作を行いテストを行っている。まず、光学的集光を鏡または、レンズで行った後、1m程度のカメラのサイズを今のところ仮定するのが合理的である。微弱なUV光子を最終的に撮像素子にて電気波形に変換するには、2段のイメージインテンシファイアと高速CCDカメラを用いる。1段目では光電子の加速・蛍光化のみで増幅を行い、蛍光イメージを光分配器にて後段のイメージインテンシファイアとトリガー用光電子増倍管とに経路を分ける。トリガー用には2次元メッシュダイノード型光電子増倍管を用い、荒い像とその時間応答を電子回路にて分析しトリガー論理を生成する。そのトリガーにより、2段目のイメージインテンシファイアの高電圧印加の正否が決まり、トリガーされたイベント像のみCCDカメラにて撮像される。その像とトリガー用光電子増倍管からの時間情報とをデータ収集すれば原理的に、上記の低消費電力による100曼画素程度の分解能と時間情報も得られる。これらは、格別、困難な開発要素は無く、本研究後、宇宙環境下での耐久性等を確認すれば、この設計は適応可能である。プロトタイプ製作、分解能、トリガー装置の応答性能等のテストのため、クリーンも設置され、現在、本格的な定量的テストが行われている.
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