研究課題/領域番号 |
09554011
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡本 宏巳 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (40211809)
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研究分担者 |
小方 厚 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (60023727)
生出 勝宣 高エネルギー加速器研究機構, 教授 (50150008)
井上 信 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90028176)
高橋 徹 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (50253050)
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キーワード | レーザー冷却 / ビーム蓄積リング / クリスタルビーム / 結合高周波空胴 / テーパー冷却 |
研究概要 |
1. 前年度までに行われた分子動力学シミュレーションでは、ビームに与える冷却力として個々の粒子の速度に比例するきわめて単純な散逸力を仮定していた。今年度は、より信頼性の高いシミュレーション計算を行う目的で、まず冷却過程の計算ルーチンを大幅に改良するところから始めた。レーザーの周波数やパワーなどによって決まる現実的なレーザー冷却力を数値的に導入し、これまでに得られた知見の再確認を行った。 2. 実際の蓄積リングは不可避的に構造上のエラー(磁場誤差、リング構成要素のミスアラインメント、等)を含んでいる。この理想からのずれが大きいと、ラティスの周期性が完全に破壊され、前年度の研究で結論された"ビームの極低温下に必要な条件"が満たされたくなってしまう。そこで、エラーの許容値を求めるため、四重極磁石の集束力がランダムにずれている場合の加熱効果について調べた。その結果、磁場誤差の許容範囲は0.1%程度であることが判明した。この程度の精度で蓄積リングを構築することは現在の技術で十分可能であると考えられる。 3. 蓄積リングには双極磁石の存在に起因する運動量分散が伴うため、通常の単色レーザー光による冷却ではクリスタルビームの安定化が達成できない。この点を補うため、"テーパー化された散逸力"の導入が提案されている。このテーパー散逸力の発生を可能にする冷却スキームについて研究を行った。具体的には、周波数が少しずつ異なる複数のレーザーを用意して適当な間隔で配置し、一組をビーム進行方向に、もう一組を逆方向から照射するという方法を考案した。この方法により、理論的に予言されているテーパー散逸力とほぼ等価な力を実現できることがわかった。
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