研究課題
p型となっている高純度ダイヤモンドに対してアルミを蒸着するとショットキーバリアー(SB)としての性能が得られることが今までの研究で明らかになっているが、現在問題となっていることは向い合っている面をオーミックコンタクト(抵抗接触)の電極にすることである。以前はこの電極として単に金を蒸着していたが、この方法は不十分であり、アルミ電極と共にある程度のSB性を示していた。両電極がSBとなる場合、ダイヤモンド内部に生じるフェルミ準位は放射線によって発生する電荷をダイヤモンド内部に閉じ込める方法にゆがみ、発生した電荷の全てを収集することが出来なくなってしまう。また、これがダイヤモンド検出器に問題となっているポーラリゼーション効果の根源ではないかということも考えられる。本研究ではダイヤモンド表面に水素終端処理を施した上に金またはTi/Pt電極を付けること、単結晶ダイヤモンドの片面にボロンを高濃度にドープしたホモエピタキシャル層を作ることで実験を進めている。特に前者の電極では、ほぼ完全なダイオード特性を得ることに成功し、良好なオーミック電極が出来たと思われる。具体的には、順方向印加電圧400V程度でnAを越える電流が得られ、逆方向では3kVで20pA程度のダイオード特性が得られている。現在、このような静特性を持ったダイヤモンド検出器によって、実際にアルファ線を入射させてテストを行っているが、キャリアの収集率と窒素不純物に特に関係がある事がわかり、0.3ppm程度のものでシリコン検出器程度の高エネルギー分解能になることが確認された。さらに不純物濃度の低い素材を用いることができれば、シリコン検出器の性能を上回ることができるかもしれない。また、ダイヤの製作方法は日に日に進歩し、現在0.1ppmの不純物で1cm角の良好な物が手に入ることがわかり、これに対して更に研究を進める予定である。
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