研究課題
基盤研究(B)
人工ダイヤモンド放射線検出器の開発は、近年、CVD法を用いたダイヤモンドに対してよく行われているが、我々は確実な単結晶が選られている超高圧法によるダイヤモンドに対して開発を行った。この結果、他のグループでは選られていない、以下のような様々な実験結果を得る事ができた。(1)α線入射より、Siに匹敵した高エネルギー分解能(15.4keV[FWHM])を得ることができた。(2)重粒子線検出器として△E×E法を使い、Feの元素弁別を行うことができた。(3)Si、Ar、Fe等の重粒子を用いて、阻止能がZの2乗に比例することが確かめられた。(4)以上の点は、高温環境下、特に水星や金星で使用可能な「粒子線検出器」が実現できる結果であろう。(5)半導体ダイヤモンド検出器にとってショットキー電極とオーミック電極が重要であり、ポーラリゼーション効果も電極構造に依存していることが確かめられた。(6)半導体ダイヤモンド検出器を開発することは、素材の評価にもつながり、素材の善し悪しの判定と共に、キャリア、比抵抗、移動度を測定する方法にもなる。これは今後の課題である。(7)バンドギャップが最も大きなダイヤモンド検出器を扱うことは、他のワイド・ギャップの半導体検出器への指針を与えることができただろう。特に、電極の製作方法は重要である。(8)物性的見地からは、エネルギーバンドギャップとε値が比例関係になることが60年代にクラインによって示されているが、我々の結果はその式から少々はずれており、オプティカル・フォノンについて再考察すべきであるとの結果を得た。本研究では、以上のような様々な結果を得たが、この開発は宇宙線観測のみに役に立つだけでなく、様々なダイヤモンド素子開発へ応用されることが、期待できるだろう。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)