本年度は最初に、装置全体の架台の設計と製作を行った。本装置は、超高真空装置なので実験前に150℃までのベーキングが不可欠であり、ベーキング不可能な超伝導磁石とプラスチックデュワーをベーキング後に超高真空装置と接続する必要がある。そのために、超高真空装置全体をつり下げることが可能な架台を設計製作した。この架台に、昨年度作製した超高真空試料作製室、試料導入室およびクライオスタットとバルブや真空ポンプ等の部品を取り付けて抵抗測定装置の真空容器を組み立てた。この容器の真空試験および超高真空ベロー移動機構の試験を行い良好な結果を得た。 昨年度に設計した抵抗測定機構を試作した。この機構は、走査トンネル顕微鏡の粗動機構の原理を応用して、ギヤの組み合わせによって、超高真空中で電極を試料表面に押し付けるものである。試作品は電極の接触性に多少問題があったが、その改良のための設計を完了した。また、微小領域の抵抗測定のために、1ミクロン以下の微小な電極を作製する技術を開発している。フォトリソグラフと電子ビームリソグラフを用いてシリコン基板に微小な凹凸を作製することに成功し、その上に金の蒸着によって微小な電極を作製している。今後の発展としてさらに小さな電極を作製するために、収束イオンビームを用いたリソグラフによる方法を検討している。 現在抵抗測定装置を製作中であり、まもなくこれを超高真空装置に組み込む予定である。今後この装置を用いて抵抗測定実験を行う。
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