研究概要 |
本研究の目的は,火山活動や活断層の活動に伴う地殻変動を詳細に観測するために,可搬性や操作性が高く,電池等でも運用可能な低消費電力の地殻変動装置を開発し,試験観測を通してその有効性を検証することである.昨年度までに試作装置の開発と改良を終え,群発地震活動が盛んな静岡県伊東市周辺で試験観測を開始した.本年度はその観測を継続すると共に,観測データの解析や装置の改良を引き続き行った. 1998年4月20日より試験観測を実施していた伊東市沖で群発地震活動が始まった.この群発地震活動に伴う地殻変動を高時間分解能,高密度で観測することができた.ここで得られた観測データからこの群発地震活動に伴う地殻変動を詳細に解析することを進めている.その結果,群発地震の発生と同時に伊東市の川奈沖で開口割れ目が発生し,その活動は地震活動の終息まで継続する.開口の大きさは群発地震活動の開始時が最も大きくて,次第に小さくなってゆく.また,これとは別にM>4の地震に伴う横ずれの断層に起因する地殻変動が,この開口割れ目による変動に重なっている,などのことが解明された. 本研究において開発した観測装置は,小型・軽量であるため,海外での観測にも適している.昨年9月22日に発生した台湾集集大地震の後,研究分担者の一人が本装置10台を震源地域に設置し,地震後の余効変動の検出を目的とした観測を開始した.本研究は今年度で終了するが,ここで観測されたデータの解析を今後も進め,大地震後の余効変動の研究を行いたい.
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