研究課題
基盤研究(B)
本研究では、これまでに開発した大出力音波発射装置をMUレーダーに付設し、対流圏・下部成層圏の温度プロファイルを定常的にかつ高精度に測定できる「RASS大気温度計測システム」を開発し、標準的な気象観測装置として実用化することを目的とした。システム全体としては、MUレーダー観測棟内のレーダーデータ処理装置に直結して音波面のレイトレーシングを行い、音波発射装置を制御するRASS制御用PCを用い、アンテナ面内の高出力音波発射装置を制御する構成のRASSシステムを開発した。さらに、レイトレーシングおよび観測制御ソフトウェアを開発した。また、RASS用の音源の安定な無線伝送化を図り、種々の波形の音源を安定に長時間供給できるRASS装置を実現した。同時に全音源が観測室から同期制御可能になり、アレイ音源化が完成した。これらにより、夏季は対流圏界面まで、冬季は対流圏中部までを観測できる、安定に動作する大気温度測定システムが完成した。さらにこのようなシステムを用いてRASS観測を行いラジオゾンデその他の観測とも比較観測を行い、詳細に解析することにより、大気安定度とレーダーエコー強度、エネルギー消散率の特性や相互依存関係を解明した。また、大気安定度とレーダーエコー強度の関係を詳細に解析することで、温度だけでなく湿度の正確なプロファイルを得る観測技術を開発した。以上のように本研究は、当初予定していた以上の成果を上げることができた。なお成果については、国内および国際学会で発表した他、学術論文誌に発表を行なった。
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