研究分担者 |
野崎 義行 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70126142)
紀本 岳志 (財)海洋化学研究所, 主事(研究担当)
中山 英一郎 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (50108982)
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
石橋 純一郎 九州大学, 理学部, 助教授 (20212920)
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研究概要 |
本研究は,中央海嶺における熱水活動や沈み込み付加体の冷湧水活動など,大きな時空間変動を伴う海洋内の現象を正確に把握するために,現場化学分析の手法に着目し,世界に先駆けて高精度の現場化学分析システムを試作することを主な目的とする。本年度は,前年度に試作したプロトタイプ(現場マンガン分析装置)を,実際に水深1500〜2500mの海域で使用し,問題点を抽出し,さらに改良を加えることによって実用的装置としての完成度を高めることに努めた。海中で長期間の連続観測に対応できるよう,分析系内のフロースルー制御にダイアフラム式ポンプ,およびピストンポンプを用いる方式を検討した。1998年7月の「しんかい2000」による沖縄トラフ海底熱水活動潜航調査でまずテスト使用し,細部に手直しを加えた後,同年9月から10月にかけて実施された「アトランティス/アルビン号」航海(南部東太平洋海膨における海底熱水活動潜航調査)において本格的に使用した。その結果,熱水プルームに伴うマンガンの濃度異常の詳細なデータを取得することに成功した。また,自律型水中ロボット「アールワン」に本装置を搭載するための基礎検討と,ソフトウェアの改良を行い,平成11年度に予定している世界初の水中ロボットによる現場化学分析の準備を進めた。本装置を活用し,1998.3にマリアナトラフで新たに発見した熱水活動域についてアメリカ地球物理学連合秋季大会(1998.12,サンフランシスコ)で報告したほか,国内の学会での講演,およびマンガン分析法についての原著論文を出版した。
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