研究分担者 |
飯沼 武彦 日新電機株式会社, 電力システム研究開発部, 主席研究員
玉井 聡行 大阪市立工業研究所, 工業化学課, 研究員
前多 肇 大阪府立大学, 工学部, 助手 (40295720)
松村 昇 大阪府立大学, 工学部, 助手 (40125274)
杉本 晃 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (00081323)
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研究概要 |
光応答性機能物質の開発とその応用の目的としてR_3M基(R=アルキル、M=Si,Ge,Sn)を置換基としてもつ芳香族炭化水素ならびにジヒドロフェナジン誘導体を合成するとともに、その光物理的および光化学的特性について検討し、以下の知見を得た。 1. 芳香環にトリメチルシリル基が直接置換したピレン、アントラセン、フェナントン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素のシクロヘキサン中における蛍光の量子収量は母体の芳香族炭化水素の蛍光の量子収量よりも大きい。特に、9-トリメチルシリルフェナントレンの蛍光は無置換のフェナントレンの蛍光の約4倍に増大する。 2. 置換基の種類がケイ素、ゲルマニウム、スズの順に蛍光の量子収量は小さくなり、その蛍光寿命は短くなる。これはゲルマニウムおよびスズの重原子効果に帰因する。 3. 1-トリメチルシリルピレンとケイ皮酸メチルまたはα-シアノスチルベンのような電子不足型芳香族アルケンとの光反応によって、ピレン環の4,5-位で(2π+2π)光環化付加体が効率よく生成する。これらの光環化付加反応では、アルケンのフェニル基がピレン環上に重なったエンド型付加体が優先的に生成する。 4. 分子内に電子受容性基として3,5-ジニトロフェニル基と長鎖アルキル基を併せもつ1,5-ジヒドロフェナジン誘導体は、その単分子LB膜が光電変換用分子デバイスとして機能する。また、その単分子膜をマイカ板上に移すと、AFMによって分子像を得ることができる。
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