研究課題/領域番号 |
09554041
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宗像 惠 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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研究分担者 |
水田 幸男 日本電子(株), ESR応用研究室, 主任
藤井 金苗 日本電子(株), ESRグループ, グループ長
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 講師 (80257964)
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キーワード | パルスESR / 誘電体型共振器 / 多核遷移金属錯体 / 3核パラジウム錯体 |
研究概要 |
1.パルスESR用高感度共振器の開発 当初、ループギャップ型共振器を検討していたが、その後のさらなる検討の結果、マイクロ波磁界を均一に出来ること及び中心にマイクロ波を集中させやすいことの2点から、誘電体型共振器の方が高感度を得られることがわかったため、この方式で共振器の開発を行なった。開発した誘電体型共振器は小型で、マイクロ波磁界が中心に集まっている為、低い電力で高いマイクロ波磁界を得る事が出来る。この結果、少ない試料で高感度の測定が可能となった。特にマイクロ波ラインとの結合範囲を広く取っているので、Q値の可変範囲が広く、パルスESR測定においてデッドタイムが短い状態での測定が可能である。このことは、遷移金属錯体のパルスESR測定においてはおおきなメリットとなる。 2.多核遷移金属錯体の合成及び構造解析 これまでに、dppmにより架橋された3核パラジウム錯体においてその1電子還元生成物がパラジウム核及びリン核により分裂した複雑なESRスペクトルを示すことを明らかにした。さらにdppmによる架橋ではなくClアニオンによる架橋構造を有するパラジウム3核錯体[Pd_3(μCl)_2(PPh_3)_3Cl_3も室温でESRスペクトルを示すことを明らかにした。他に、新規に合成した多核錯体としては、一連のTBA_2[M(mnt)_2Cu_4I_4](M=Ni,Pd,Pt)がある。この錯体はmntのS原子にCu(I)が配位し、さらにCu_4I_4は8員環を形成している。これらの錯体のパルスESR測定については、上記で開発した共振器を用いて、次年度に行なう予定である。
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