近年、柔らかい固体である有機固体、分子結晶や金属錯体固体に高圧を加える実験が盛んに行われている。電気測定あるいは光学測定を通じて、超伝導性の発現など目覚ましい成果が挙げられている。これらの分野では、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた測定が主流となりつつあり、その圧力の上限は20GPaを越えている。そしてさまざまな相転移現象の報告が相継いでいる。本研究は、これまで我々が培ってきたBe-CuセルとFaraday天秤の組み合わせによる高圧下の磁気測定技術を利用し、近年市販されている小型のDACを非磁性化、つまりダイヤモンドをクランプしている金属部分をBe-Cuにすることにより、DACとFaraday天秤の組み合わせから、より簡便で高精度の、しかも誰にでも使える超高圧下磁化率測定システムの立ち上げを目的としている。本年度は、非磁性DACセル(鋼鉄部分をBe-Cuに置き換えたもの)セルの製作を行った。ダイヤモンド1対をセルに装着して力を加えることにより、10GPa程度の圧力を発生することができた。現在昨年度改造したFaraday磁気測定装置と組み合わせる作業をしており、本年度中には完成する予定である。
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