研究課題/領域番号 |
09554048
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
香月 勗 九州大学, 理学部, 教授 (40037271)
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研究分担者 |
鈴木 健二 日産化学工業株式会社, 中央研究所, 主任研究員
入江 亮 九州大学, 理学部, 助手 (70243889)
伊藤 芳雄 九州大学, 理学部, 助教授 (00221086)
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キーワード | 不斉Kharash-Sosnovsky反応 / 不斉アリル位酸化 / トリスオキサゾリン-銅錯体 / 過酸エステル / 過カルバミン酸エステル / アリル位アミノ化 / 不斉ベンジル位アミノ化 |
研究概要 |
本研究では、アルケン類の実用的官能基化を目的として、不斉エポキシ化、アジリジン化およびアリル位のヒドロキシ化の開発に着手している。これまでにそれぞれの領域で興味ある知見を得ているが、ここではアリル位の官能基化について報告する。 銅触媒の存在下にアルケンを過酸エステルと反応させると、相当するアリルアルコール誘導体を収率よく与えることが知られている(Kharash-Sosnovsky反応)。今回、トリスオキサゾリン-銅(II)錯体を新たに設計して本反応の不斉化を試みた。種々反応条件の検討を行ったところ、モレキュラーシ-ブの存在下に反応を行うと収率よく反応が進行することを見い出した。例えば、シクロペンテンを0°Cにて反応させると、化学収率81%、不斉収率83%eeで目的の2-シクロペンテニルベンゾエ-トを得ることができた。さらに低温(-20°C)で反応を行うと収率の低下が見られるものの、不斉収率は93%eeまで向上した。アリル位の不斉酸化では最高の不斉収率である。 さらに、酸化剤として過酸エステルの代わりに過カルバミン酸エステルを用いれば、窒素官能基を直接アリル位に導入できることを見いだした。触媒に銅(II)トリフラートを用いて、アルケンとN-(p-トルエンスルホニル)ペルオキシカルバミン酸t-ブチルとを反応させると、アリル位に(p-トルエンスルホニル)アミノ基が導入される。また、本反応はベンジル位のアミノ化にも適用される。現在本反応の不斉化を検討中であるが、これまでに前述の光学活性なトリスオキサゾリン-銅(II)錯体を用いるインダンのアミノ化で28%eeの不斉収率が得られることを見いだした。未だ不十分な値であり、今後改善を検討していく予定である。
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