研究課題/領域番号 |
09554052
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
|
研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岸 浩 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (60042529)
|
研究分担者 |
永柳 衍 島津製作所(株), 第一分析事業部, 部長
藤井 敏博 国立環境研究所, 化学環境部, 上席研究官 (60109907)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
キーワード | 表面電離 / 超音速分子加速 / GC / MS / 運動エネルギー / 検出器 |
研究概要 |
高速有機化合物分子の表面電離法(HSI ; Hyperthermal Surface Ionization)をキャピラリーガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)のイオン源に組み込んだ全く新しい装置を試作した。この報告書は、この試作研究に関するものである。まず、種々のパラメータがどのように実験結果に影響を及ぼしているのかを明らかにするために、イオン化機構を検討した。研究論文(1)と(2)は、この機構に関するものである。研究論文(1)では、正イオン化の生成効率と分子の運動エネルギー(Ek)との関係を考察し、Ekの内、分子のイオン化に有効に用いられるものの割合をγ-factorと名づけた。γ-factorを推定する方法としてイオン化効率の、(i)EK依存法、(ii)1/Ts依存法(Tsは固体表面温度)、を提案し、二方法で推定された値が良く一致することを示した。この結果、(i)EKの一部イオン化に有効である事、(ii)γの値が分子により大きく変化する事、(iii)イオン化エネルギー(IE)と固体表面の仕事関数(φ)のエネルギーギャップを埋めるのにEkが用いられると考えられる事、等を明らかにした。研究論文(2)では、分子と固体表面との衝突過程においてEkが分子の振動励起に用いられる割合を推定する方法を提案し、その推定結果を報告した。その結果、(i)EKの一部が振動励起に有効であるがその変換割合は30%にも達する事、(ii)推定したγ-factorの23%と併せてEkの50%以上もの高い割合が分子の内部エネルギーに変換している事、(iii)固体表面の熱エネルギーが分子の振動励起に寄与する確率は低く、これはHSIの"impulsive"な機構と矛盾しない事、等を明らかにした。著者(3)は有機化合物の表面電離に関する最近の成果を総説した。ここでは、(i)関連する基本原理、(ii)装置、(iii)応答特性と操作性、(iv)応用例、等を含んで主としてガストロマトグラフ検出器に関して総説した。当初の研究計画の中で予定していた、負イオンHSIのGC/MSへの応用に関する部分が本報告書をまとめる段階で間に合わなかった。負イオンモードのシステムは完成していて、測定値が出始めているが、今後の研究論文の提出にゆだねる。
|