総計14種の霊長類からRNAパネルを作成した。内訳は類人猿6種、チンパンジー(Pan troglodytes)、ボノボ(Pan paniscus)、ゴリラ(Gorilla gorilla)、オランウータン(Pongo pygmaeus)、フクロテナガザル(Hylobates syndactylus)、クロテナガザル(Hylobates concolor);旧世界ザル4種、ブルーサイクス(Cercopithecus mitis)、パタスモンキー(Erythrocebus patas)、ハヌマンラングール(Presbytis entellus)、キングコロブス(Colobus polykomos);新世界ザル2種、コモンマーモセット(Callithrix jachus)、ワタボウシタマリン(Saguinus oedipus);原猿類2種、メガネザル(Tarsius bancanus)、ショウギャラゴ(Galago senegalensis)。原猿類は繊維芽細胞株より、その他は白血球細胞株よりRNAを抽出した。これらを用いて本来網膜で発現する視物質遺伝子の非特異的発現の検出をRT-PCR法で試みたが、検出することができなかった。本課題のもう1つの目的である、視物質遺伝子の構造機能解析においては、次の結果を得た。1)ヨザルには定説に反し複数の赤緑視物質遺伝子座位が存在する。2)そのなかにはY染色体に転座し、pseudo化している遺伝子がある。3)コモンマーモセットの赤緑視物質遺伝子には3つ対立遺伝子型以外には変異は検出されず、染色体FISHの結果を総合すると、X染色体1座位3対立遺伝子モデルに完全に従う。4)ハトの全ての視物質遺伝子を解析した結果、紫外線視物質であると考えられていたSWS1は紫感受性に近く、それ以外の視物質にも紫外線感受性のものは無かった。
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